IT業界を離れる人たち
先日、以前同じプロジェクトで一緒だった人たちと久々に会ってきた。ちょうど年末ということで忘年会を兼ねて飲み会をしてきたのだけど、集まった5人中2人がこの業界を去ることを決めたと聞いて軽くショックを受けた。
一人目は元々家業の町工場があり、そこを継ぐのかあくまで社員としてやっていくのかわからないがとにかくそちらに移るということだった。34歳。独身。
もう一人は来年の3月までは続けるそうだが、もうすでに職業訓練校に通うということを決めているとの事だった。どんな職業訓練をするのか聞いたところ、電気工事の訓練だそうだ。彼も実家は家業を営んでいるが、全く別の業種を選択している。ちなみに32歳。独身。
5人それぞれ別の会社なので、個別の事情は正直わからなことも多いけど、飲み会の最中とにかく将来への不安を口にしていた(当然僕も)。20年後どうなっているか全く想像がつかないのだ。
一人目の彼は100人規模の会社に務めるエンジニアだけど、基本的に社内での開発ではなく、常駐先での作業が100%で、ほとんど一人で常駐していたそうだ。当然一人なので、マネジメント的な経験を積むことが出来ず、実装作業(設計含む)のみをやってきていた。その部分に不安があったようだ。彼とは一度しか仕事をしていないが真面目で理解力も高く、技術的な面でも非常に能力が高かったので、あとはマネジメントだけだと思っていたが、会社はその辺をきちんとケアできていなかったようだ。
結局貴重な戦力であるはずのエンジニアを放出することになってしまった。
もう一人の彼は、春先から夏にかけてのプロジェクトで燃え尽きてしまったらしい。なんでも6月の休みが1日だけだったようで、それを会社に不満として伝えてもきちんと対応してくれず、会社に対して強い不信感を募らせたようだ。元々彼も技術力は確かで、エンジニアとしては一人前。口下手であまり喋るのは得意ではないが、その分冷静で勤怠もしっかりしていたので、尊敬していた。
会社内では主任を任されるような立場になりつつあったようだが、そんな彼も結局この業界から去ることになってしまった。一人目の彼も二人目の彼もIT業界のみの10年選手なのに・・・。
また別の一人のエンジニアから話を聞いたところ、最近残業がない落ち着いた状況であることはいいのだけどその分給与が非常に少なくなっていて困るということだった。具体的にいくらだったかといえば、手取りで「17万円」だそうだ。35歳のエンジニアの手取りが17万円。周りの皆がすぐさま「転職しろ!」と言ったのは当然だ。
最近、転職活動をして年収について確認したけれど、基本給としてそこまで低い会社は聞いたことがない。彼は確かに零細会社に勤めているが、残業しないというだけでそこまで給料が低くなるものだろうか...。
給料が低いこともそうだけど、彼も僕と同様に客先の作業が100%でいわゆる客先常駐と呼ばれる業務形態なのだけど、やはり新しいプロジェクトに参画するたびに人間関係を構築するのに非常に苦労していた。別にプロジェクト内のメンバーから嫌がらせをされるとかそういうことでなく、単純にいちいち人の名前とかを覚えなおしたりそういう部分の話なのだ。関係性がプロジェクトが変わるたびにリセットされる。これが半年ごとに行われるというのは非常にストレスだということを理解していない人は多いのではないだろうか。
僕はこれを転校生の気分ということで常に言っている。
仕事のストレス(分からないことばかり)に加えて、そういった人間関係のストレス、また給与が少ないことのストレスで、彼もやはりこの業界から足を洗おうかと考えているようだ。ただ、給与に関しては転職やフリーになることで案外解決はしやすい。早く転職して欲しいと思う。
なんで一番技術力もないクソみたいなエンジニアの僕が未だにこの業界にしがみついているのだろう。それが一番の謎だ。
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