【どこがダメなのか】FF15の情報を見ての感想
小学生の時にFF2やFF3を見て、「なんて革新的なゲームなのだろう」と思った。その後FF4やFF5、FF6がSFCで発売される度に映像の凄さに驚嘆し、
FF7ではポリゴン的なキャラクタ造形にはちょっと驚きつつも、新しい時代のゲームとはこういうものだと常にRPGユーザの度肝を抜いてきたファイナルファンタジーシリーズ。
それが今や見るも無残な状態になっていると感じる。
今後の新作FF15の情報をネットの色々なサイトで見る機会があったが、正直なにがやりたいのかさっぱりわからない。
結局集約されるのは、野村哲也というゲームクリエイターにはファイナルファンタジーを作ることは出来ないということだと思う。
彼が一番注目を浴びたのはFF7からだけど、確かに当時はFF6までのメインキャラクターデザインを担当していた天野さんのイラストではない野村哲也のイラストに、天野さんとは別のちょっと今っぽい感じがあったのは事実でそれが割りと好意的というよりはかなりユーザから受け入れられた。
天野さんの幻想的なイラストではハッキリしなかった、「イケメンキャラ」がはっきり「イケメンキャラ」としてビジュアルとして出てきた感じ。特にわかりやすかったように思う。
結局その後のFFシリーズはずっとキャラクタデザインに関しては野村哲也が関わることになる(FF9とFF12は別だっけ・・・)
そこで今回のFF15だけれども、結局こんな感じキャラクタが登場することになる
(なんだよこの7分丈のショートパンツは)
これの中央のキャラクタが野村哲也が考える、FFの主人公にふさわしいキャラクタの造形で、周りのキャラクタもパーティメンバとしてふさわしいと考えるものなのです。ちょっと背伸びした中学生じゃん。
キャラクタデザイナとしての野村哲也は本当に引き出しが狭すぎると思う。毎回FFシリーズの新作が発表されるたびに「ホストファンタジー」などと揶揄されることが多いのは、彼の引き出しの狭さのゆえに、毎回似たようなキャラクタデザインであることが原因だ。
また、毎回109メンズ館あたりで売ってそうな服装のキャラクタデザインであることもあるだろうと思う。これ、英字のプリントなんかあったらほんとそのままだよ。タトゥーを入れてるキャラが必ずいるけど、なんで毎回似たようなトライバル柄になるのかも意味がわからない。
とにかくダサい、の一言に尽きる。
彼の趣味嗜好が、彼のカッコイイと思う造形が、どうみてもホストやビジュアル系の方面にあることは間違いなく、それがあまりに直球過ぎて陳腐なのがキツイと思う。そういったホスト系・ビジュアル系がカッコイイという部分は、当然各キャラクタの設定にも活かされている。
プロンプト・アージェンタム
グラディオラス・アミシティア
ノクティス・ルシス・チェラム
イグニス・ストゥペオ・スキエンティア
コル・リオニス
ちょっとびっくりするが、各キャラクタの名前である。「ス」の登場頻度が半端じゃない。別に「ス」をつけるな!とは言わないが、普通気づくものじゃないだろうか?古代ギリシャ神話からとってきたのか、と思わずにいられない。
また主人公である、ノクトのキャラクタ設定が以下のようになっているらしい。
ルシス王国の王位継承者。幼い頃にあった事故により 空から射す「光」で人の死を予見する目を持つようになる。 右手の指輪だけが唯一の装飾品、エトロの光を視る能力がある 高い身体能力に加え、王族のみが扱える力を秘めている 力を解放すると瞳の色が蒼から赤に変化、武器召喚や瞬間移動が可能に 王族の堅苦しさを嫌い自由な言動を繰り返し、周囲を呆れさせる。 自信家に見えるが、強くある事で仲間を守ろうとする思いから。 王位継承者でありながらも自分のその血筋や身分に拘りを持たず親しい者には気さくに接する。
こまけえな~~~~~
ライトノベルを書こうとしている時に考える登場人物の設定かよ、という感じでそういう設定になっている部分はゲーム内で表せばいいじゃんと思ってしまう。
「あれ?このキャラクタは王族なはずなのに口調はだいぶ砕けた感じだな?」とかユーザーに感じさせればいいのに。それと、ここまでリアルな造形になってくると「王族のみが扱える特別な力」というのもなんか逆に違和感しか覚えなくなってくる。
何のシーンかわからないけど、パトカー(極めて現代的な)があって、当然自動車があるということはかなりの文明的に言えば物質的な部分で進化した世界であるということの証明で、そんな世界で「王族のみが扱える特別な能力」なんてものがあるとしたら普通は奇異の目にさらされるものだと思う。当然、そんな異能は世間の目からは隠さないといけないはず。
ところが、隠すどころか思いっきり使いまくっているという。町中でモンスターが暴れているように見えるけど、周りに一般人が影も形も見えない。なぜ一人もいないのかはわからない。
そもそも当たり前のようにモンスターと戦っているけど、ここまでの規模の災害であれば普通軍隊を要請したりするもんじゃないの?なんで王族が一番先頭に立ってモンスターと戦っているのか。
※追記
例えばだけど、天皇陛下が悪魔召喚師でしたみたいな事実があったとして、それを世間におおっぴらにしますか?と言う話です。絶対に隠すでしょう。この主人公は「武器の召喚が出来ます」ということだけどそれの何が凄いのかは置いておいて、武器の召喚が出来るくらい強い(?)ので有事の際には誰よりも前にたって戦います!っておかしくないか??それを「さすが王子すごい能力だ!」とかって素直に称える国民性なのか。戦いはその周りのメンバーが頑張れよという話です。
ビルは見えるけど、やっぱり人はどこにもいない。これだけビルが沢山あれば誰かが必ず目にすると思うのだけど・・・。ガラス部分には絶対にカーテンを引くように法律で決まっているのだろうか。ランダムエンカウントなら敵と味方パーティしか戦闘エリアに人が入り込まないのはわかるけど、こういうオープンフィールドかつ都会の中心で戦闘するなら一般人が入り込んでもおかしくない気がする。
とにかくゲームとして都合がいいように作られすぎてて、キャラクタや背景などはリアルに出来ててもリアリティが全くない。こういった細かい部分を野村哲也一人で決めているとは思わないが、似たようなツッコミがでてきてもおかしくないと思うのだけれど・・・。
ここでいうリアリティのあるなしは、ゲームキャラに「尿意がないのはおかしい」とか「空腹ポイントを設定して、ある程度食事をしないと餓死する」とかそういうことでは決してない。現実的には絵空事でもこの世界観ならあるかもしれない、むしろありえると感じるような擬似的なリアリティのことだ。FF4でリディアが幻獣界で過ごしたことで少女から大人に成長したけど、そのことについて悪い意味でツッコミが入ることはない。「幻獣界ではそんな風に時間の経過が違うんだな」と納得のできるフィクションを構築しているからだ。しかしこのFF15では、
・SF要素を入れたいから舞台は現代とさほど変わらない文明社会にしよう
・主人公は王族という特別なパーソナリティをつけよう
・主人公は訓練とかしなくてもモンスター退治出来るように特別な能力があることにしよう
というように製作者にとってとにかく都合のいいものになっているだけでゲームとしてのフィクションに説得力がないので、まったくリアリティを伴ってない。現代社会ならではの不都合があるはず。王族ならではのデメリットがあるはず。特別な能力を持つことでの苦悩があるはず(これについては描写されそうですが。武器を召喚~の件ではなく、’人の死を予見できる’能力あたりで)。
ナイトヘッドという超能力を持つ兄弟の話があります、彼ら兄弟はそれぞれサイコキネシスや人の心を読むリーディングの能力を持っています。しかし、そういった特別な能力ははたして二人を幸せにしたでしょうか。実際はそんな特別な能力があるからこそ、いつも人から隠れていなくてはいけないような生活をするハメになっています。
このFF15についていえば、上記の設定を含んだ「SF+ファンタジー要素(魔法とか召喚獣とか)」というありきたりなゲームになっていることは確かで、このブログでも何度か言及したけど安易にSF要素とファンタジー要素を混ぜるなと改めて言いたい。なんでこれだけ文明が発達した世界で剣を振り回して戦っているのかさっぱりわからない。FF6でエドガーが一人だけ文明の利器っぽい装備で戦っていたけど、あれはエドガーだけが技術的に進んだ国の王だという世界設定だから合っていたに過ぎない。
最近のFFに対して挙げられる批判に多い、「元のファンタジー世界のゲームに戻して欲しい」というものがあるがあるけど、あれは不正確で、正確には「文明の発達した要素も違和感のない世界観にして欲しい」ということだと思う。
スターウォーズではSF丸出しの世界観だけど、アナキン・スカイウォーカーのようなジェダイの騎士はビームサーベル振り回しているのは、彼らはそれぞれ修行をした上でああいった戦いに特化した形になっている。対して、FF15の主人公は「王族として特殊な能力持ってます」というだけで異常な身体能力がありすぎる。だったらもう超能力者(エスパー)です、という風に割り切った方がいい。
こういった世界設定に関しては、本当に出来る人が設定を管理しないと野村ファンタジーがポコポコ生まれてしまう。今回、野村哲也がプロジェクトから外れることになったというニュースが流れたけれども、今後彼をファイナルファンタジーに関わらせてはいけないと思う。
関連記事
ゲームシナリオの書き方 基礎から学ぶキャラクター・構成・テキストの秘訣 (NEXT CREATOR)
- 作者: 佐々木智広
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2006/09/21
- メディア: 単行本
- 購入: 19人 クリック: 280回
- この商品を含むブログ (40件) を見る
おもしろいゲームシナリオの作り方 ―41の人気ゲームに学ぶ企画構成テクニック (GAME|DEV|LAB)
- 作者: Josiah Lebowitz,Chris Klug,塩川洋介(監訳),佐藤理絵子
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2014/08/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る