底辺過ぎてちょっとビビる

26歳からIT業界にいるエンジニアが、まったく成長できてないことを確認するブログ。備忘録的に使いたいとも考えています。

重要な人がいなくなるとチームが崩壊するかと思ったらそうでもなかった話

現在のQAチームに参画してから早くも2年半が経過しようとしている。当初QAチームには別部署のメンバーをQAチームリーダーとして据えており、専任のリーダーが不在だった。当時でメンバー数が6人。そのうちの一人はQA実施メンバーではなく、なんかよくわからない立場のメンバーだった(チームマネジメントをするわけでもなく、設計だけするとかそういうことでもなく、常に何かの資料を作っているだけの存在)。なので実質自分を含めて6名がQAチーム全体だった。

 

それから数ヶ月して、そのよくわからない立場のメンバーが会社を辞めた。彼は本当に役割が不明というか、いてもいなくても全く影響なしのメンバーだったので何の感情もわかなかったが、風の噂で別会社のQAチームに転職したと聞いた。そこではマネジメントを中心に仕事を任されている様子。ただ、うちにいる時から特にマネジメントをしていたわけでもないのでどうやってマネジメントをする立場で転職できたのか不明だし、実際に業務としてQAチームのマネジメントをどのようにするのか謎だった。

 

それからしばらくしてQAチームの実施メンバーの一人(SES)が契約更新されずに退場となった。彼はこの道20年くらいの品質保証のベテランだったがとにかく仕事をあまりやらない人だった。プロパー社員のQAメンバーから「設計をしてください」と依頼されても「その設計は○○さんがやった方が経験がつくしやった方がいいよ」などと言ってのらりくらりと仕事をかわしていた(らしい)。テスト実施を任せても進捗報告も特にせずに定時で退社していた(らしい)。業をにやしたプロパー社員の判断により、次回更新は無しと判断されそのまま退場していった。

 

正直私が入る前からQAチームにいたメンバーだったので、経験もあり「辞められると困るなぁ」と思っていたが、もともとあまり仕事をしていた人ではなかったため、退場した後も特に困ったことは起きなかった。

 

それからまたしばらくしてQAチームの実施メンバーの一人(SES)が契約更新されずに退場となった。彼はQA経験というかテスター経験が数年くらいの若手だったが、自分より先にQAチームいたこともあり業務知識は持っているはずだった。が、とにかくテストが雑だった。実施確認も雑だし、設計も雑だった。機能追加ではない表示系が中心要件のQAプロジェクトにおいて「テストケース総数が5000件です」などとしれっと言ってるタイプだった。※うちのQAチームで機能系要件の最大規模工数のテストでも1000件オーバーが最大。とにかく何も考えていない感じだった。あまりに見積もりが雑なので、再見積もりを命じられていたのはいうまでもない。また彼はあるプロジェクトにおいて「バグなし」としてテスト完了を報告したにもかかわらず、その後別メンバーが同じテストケースを実行した際にバグがたくさん見つかり、「テスト実施してない疑惑」が生まれた。

 

当然「なぜテスト結果が君と他メンバーでこうも違うのか?」と、質問というか聴取が行われたのだが、その時の返答が「自分が実施した時はバグが出なかった」だったらしい。その聴取からしばらくして彼はチームを去った。正直彼に関してはあまりいい印象を持っていなかったこともありチームを去ってくれて清清した気持ちになった。

 

それから今度はプロパー社員がチームから去った。退職したのではなく別部署に異動になった。彼は色々あった(いいところも悪いところも)、寂しい気持ちになった。

 

それからも自分の後から入ったSESメンバーが無断欠勤でそのままフェードアウトしたり、業務内容が合わないということで退場したり色々あったが、特に私がいる前よりQAチームにいて、QAチームリーダーとして社内から圧倒的に信頼されていたメンバーが転職に伴いチームから離れた。

 

彼は業務知識もあり、また社内に顔が広いこともあり、色々と重宝されていた。性格にクセはあったが明るい人柄でチームの柱といえる人物だった。他のQAメンバーが知らないことも彼なら知ってるなどという業務知識の広さや深さはQAチームメンバーの頼れるリーダーという感じだったのだ。このエントリーの表題である「重要な人」とは彼のことだ。

 

最初彼から「辞めて他の会社に行きます」と聞かされた時の衝撃は計り知れない。「

あぁ、もうこのQAチームはおしまいだ」「これから色々なプロジェクトで彼がいなくなることで品質保証自体のクオリティも下がるんだ」と感じた。非常に焦った。それでも時間は過ぎていき、彼は次のQAチームリーダーに引き継ぎを終え、去っていった。

 

それから現在に至るが、実際問題「彼がいなくなったことによるQAチーム内へのダメージはほぼゼロ」という感じなのだから不思議な気持ちだ。実際にはダメージはゼロではない。不十分な引き継ぎをされた現QAチームリーダーが色々な仕事を彼の代わりとして頑張っている。リーダーになる前はテスト設計やテスト実施などをメインとして頑張っていた彼だったが、現在は主に管理業務を中心に色々とチームを率いている。不十分な引き継ぎといったが、前リーダーはいわゆる業務に関する情報をほとんどドキュメントとして残しておらず業務知識を頭の中で溜め込んでいただけだった。

 

本来QAチーム内で共有すべき情報などもほとんどドキュメント化されていない状態に危機感を覚えた現リーダーは何かとドキュメントに残す方針を取っている。これにより誰か一人に情報が集中するのではなく、新人でも情報にアクセスさえすればその情報を得ることが出来るので非常に良い。

 

またSlackでのやりとりという面でも前リーダーは「コメントなし」でいきなりURLだけ貼り付けてレスをするようなタイプだった。チャットなので当然その時の流れを追えているのであればなんのURLなのか判断もつくが、後から見返した時に前後のレスがないような場合にはやり取りが不明なので何のURLなのかはもう誰もわからない。情報としての寿命が尽きている。

 

現リーダーはそのあたり丁寧なレスを心がけているので、後から見返したときにも判断がつく。情報が生きている。

 

このようなこともあり、当初描いていた「QAチーム崩壊」は全く兆しもない。むしろ前リーダーがいなくなったことで「前リーダーに聞けば良い」というような意識がチーム内からなくなり、それぞれメンバーが情報を収集したりするようになった。資産として残すべきドキュメントを残すようになったりQAチームとして全体のレベルがアップしたように感じる。

 

 

結局「大きな穴」になると思うような人の離脱があったとして、アメーバの如く穴は埋まるものなのだなぁという感想を持った。そういう意味で言うと私自身も今のQAチームに必要なメンバーだと自負はしているが、たとえ来月辞めたとしても影響はほとんどないのだろうな、ということも理解する。