漫画の俺物語は読んでいて、内容もまぁまぁ面白いかなとは思っていた。実写化ということで付き合いで映画館で観て思ったことをつらつらと書きたい。
こういった漫画原作の実写化で気になるのは登場人物がどれだけリアリティがあるかということ。漫画に忠実な形で再現されているかよりも、存在感とかがリアルなら物語に入っていけると思っている。これは、アニメから実写化されたトランスフォーマーだとかバットマンを観て思った。実写化されたトランスフォーマーは昔見ていたアニメのコンボイ(オプティマスプライム)の造形とはあまり似てない(特に顔)だけど、それ以外のトランスフォーム時の動きとかCGで立派に再現されていて、むしろ実写のほうが迫力があるとすら思えるくらいの出来だった。バットマンにしても、そう。
で、俺物語に関して言えばメイクとかちょっとコスプレじみてはいるけど剛田猛男が凄くピッタリとした配役で、大和とか砂川とかもほぼ原作のイメージそのままで出来ていて、なかなかいいじゃないかと思った(砂川役の俳優さん:坂口健太郎の演技は棒でした。二枚目役で感情の起伏があまりないので粗がそこまで出てなかったけど、最後辺りで笑うシーンはなぜコレでOKになったかわからないくらい棒だった。)。剛田猛男の両親については原作よりもちょっとスマート(特に母親)だったけどイメージを壊さない程度の順当な配役だったと思う。
シナリオも、剛田猛男と凛子が出会って付合うまでの一番盛り上がるところを映画化していて、結末を知っている身としてはちょっぴりイライラしつつもきちんと描けているように思った。付き合ってから先のエピソードはあまり盛り上がりにどうしても欠くので、今回の映画としてはコレでよかったと思う(ただ2時間とするには原作のエピソード的に短いのでかなり内容を盛った展開になっている。中だるみ的に感じたのは気のせいではないと思う)。
一番気に食わなかったのは、映画オリジナルのエピソードで、遊園地にてお化け屋敷で火事に見舞われる箇所のショボすぎる演出効果。
火事の炎はCGで、倒れてくる壁は安っぽい作り。緊迫した場面かつ猛男のある意味一番の見せ場となる場面なのに、恐ろしいほど金のかかってないセットと演出でまったくハラハラしなかった。
この俺物語に限らず、最近テレビ放映された土竜の唄でも鉄塔爆発シーンでCGが使われていたけど、なぜこんなにショボイCGを使うのかわからない。高い金額を払って映画を見ているのに、ショッボイCGを観させられるとテレビドラマを見ているかのような錯覚に陥る。
火事のシーンはライティングも雑で、本当に安っぽいドラマのワンシーンのようだった。お化け屋敷なので、真っ暗のはずがなんか妙に明るい感じで閉塞感もない。そして熱を全く感じさせないCGと相まってコントみたいなシーンだった。
なんでこんな安っぽいCGで「OK」となったんだろう。制作費が安いから?このシーンだけではないけど全体的にいかにもセットという作りで映画というより2時間ドラマでいいのでは?と感じる内容だった。
せっかく主役の剛田猛男役の鈴木亮平が配役ぴったりの演技(「好きだ-」と急に叫びだすシーンは映画館ではまったく受けていなかった。個人的にもあまり面白くなかった)していたのに、それを潰すようなセットだったり演出で非常に残念。
俺物語だけでなく、日本の映画ドラマに関して言えば、炎爆発に安易にCGを利用するけど、それが作り物というかCG丸出しでまったく迫力がない。かつ不自然なライティングで映像としての出来が非常に低い。海外ドラマや映画と比べるとその差をはっきりと感じる。
エンディングの槇原敬之の「No.1」はとても良かった。
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