SFCで発売されたメタルマックス2のリメイク作品、メタルマックス2:リローデッド(以下、MM2R)をプレイしました。
往年のファンはもちろん、初めてメタルマックスをプレイする人にもおすすめしたい出来ばえ。正直、こういうリメイクゲームって以前プレイしたことある場合、新鮮味がなければ楽しくもなんともないと思う。SFCのメタルマックス2(以下、MM2)そのままの移植ならあえてやってみる価値というのは個人的にはない。移動中にプレイできるくらいしか利点がないわけで。
このMM2Rに関しては、完全新作と言っていいほどのボリューム。台詞やイベントについてはMM2を網羅してありながら、倍以上のイベントなどが盛り込まれている。また前作メタルマックス3での不満点(斜め移動ができない、戦車改造を元に戻せない等)の改善など、進化がみられることもよい。
キャラクター
主人公である復讐者とメカニック・ソルジャーといったものはMM2からそのままで、MM3で導入された自由なパーティ選択システムも取り入れられている。メカニック、ソルジャーはもちろんナース、レスラー、アーティスト、ハンターという職業をそれぞれヌッカの酒場にて雇い入れることが可能。これはわかりやすく言えば、ドラクエ3のルイーダの酒場やウィザードリィや世界樹シリーズなどと同様。メタルマックスでは特にキャラクターごとにイベントというのは用意されているわけではないので(仲間になるときくらい)、特に思い入れが強いわけでなければメカニック、ソルジャーは無視して構わない。
戦車
普通の戦車にはじまり、バイク系や自動車系の戦車がそれぞれ存在する。改造の自由度はシリーズ最高なのではないだろうか(メタルマックス4除く)。そもそもメタルマックスをやったことがない人はここの戦車の改造っていうのがネックなのかな。自由度が高いということは、やることがたくさんあるということでネガティブな要因になるかもしれない。基本的に戦車を構成する要素は以下の4点で、
- シャーシ
- エンジン
- Cユニット
- 武器(主砲、副砲、SE(特別な武器))
ぶっちゃけると、エンジンと武器さえ鍛えれば戦闘はなんとかなるし、実際改造しなくても新しいエンジン、武器に乗り換えていけば問題ないのだ。そこまでシビアなバランスではないですよ、と声を大にして言いたい。というのもこういったアイテム類も膨大で持て余すようなところも無きにしも非ずで。
ただ、自由に改造をしたいと思ってる人からすればその改造箇所はたくさんあり、愛着を持ってオリジナリティのある戦車を作り上げることが可能。中盤には戦車を自作することができる拠点(バトー博士は健在)も存在する。
シナリオやシステム部分
主人公はバイアスグラップラーという組織に対して、肉親にあたるような人物を殺されてしまうので、バイアスグラップラーへの復讐を果たす、という大きな目的がある。ただ、その道中で世界中にいる「賞金首」を狩ることで大金を得ることもできるし、ハンター協会から依頼される依頼事を解決してあげることも可能。また、世界中を冒険するにあたって、いわゆるエリア移動の障害になるポイントはたったの2つしか存在しない。ドラクエ1やウィザードリィのように自分の行きたいところに自由に行けるというのはメタルマックスの大きな特徴だ。
メタルマックスをやったことがない人は、フィールドに放り出されて、「次に何をすればいいの?どこに行けばいいの?」という風にとらえるかもしれない。それについてはガイド機能といういわばナビゲーションシステムが存在しプレイヤーをサポートしてくれるし、訪れる町などでその町の住人と会話などをすることでおのずとどこに向かえばいいのかわかる。
というか、一度でいいので「ここに行け!」という指示をされるのではなく、「ここ行ってみようかな?」という探索をする楽しみをメタルマックスで味わってほしい。フィールドは広いが、町と町をつなぐ転送装置や戦車道具のドッグシステムという自動帰還装置(当然どこに帰るかはプレイヤーが選択できる)がある。フォールアウトをやったことがある人であれば「ファストトラベル」というシステムがそれにあたる。
また、メタルマックスにおいて全滅はなんらペナルティにならない。一番最初の町にいる「Dr.ミンチ」という人が何も受け取らずに勝手に復活させてくれるからだ。全滅した地点に戦車は置き去りになるが、町に必ずいる戦車の修理工が戦車の回収(ついでに故障した箇所の修理まで)を安価で行ってくれるからだ。
不満点がないか、と言われればある
とにかく金策で苦労するのは最序盤のみで、ほとんどお金に苦労することがない点。戦闘を繰り返せば、ある程度資金がたまる。加えて賞金首の賞金でパーティは潤うので、後半は全戦車を完ぺきにしたいという人以外は金余り状態になるのではないだろうかということ。そもそも改造や武器防具類の価格がとても安価なことも要因だと思う。
また町中やダンジョンなどで強力な武器が転がっていること。店売り装備が町中に転がっていることもあるし、店売り用になるランクの下がった武器防具なんかも入手が容易なので、ますます金余りになる。世界観的に言えば、町中のアイテムは誰かのものである可能性が高く、一般家屋のタンスにしまってあるアイテムなんかは取ったりしたらトラブルにならないとおかしい。ダンジョンにあるアイテムはほかのモンスターハンターなんかが荒らしていてもおかしくないはず。この辺りは古典であるドラクエのお約束にのっとっている。
もし可能であれば、人間型のモンスター以外からは戦闘ではお金を得られないようにしてもよいのではないか。その代りドロップ品として店売り可能なジャンクパーツだったりすれば世界観的にぴったりになっていると思う。正直二度手間的な感じではあるけれど、世界崩壊後の世界観ならではのゲームデザインなのではないだろうか。
ダンジョンはまぁいいとして、町中のアイテム取得に関しては、取得することで住人からの支持が下がるなどで店売りアイテム価格などが割り増しになったりするというのはどうだろうか。殺して奪う(タンスのアイテムはその部屋の住人のものなので、持ち主から咎められる等で)にしてしまうと町中に人がいなくなってしまって寂れてしまうことも十分に考えられるので、ちょっと避けたい。
上記のようなゲームデザインは、ちょっと厳しいか。
最後に
MM2Rは、DSで遊べる2DRPGの中で最も面白いRPGだと言える。ドットで描かれた敵モンスターや味方パーティもウネウネと動く戦闘シーンの出来は非常に素晴らしい。また、殺伐とした世界観もありながらユニークなテキストがそこかしこにあふれており、洋ゲーにありがちな暗く沈んだ空気はほとんどない。そもそもSFCで発売されたMM2の時点でグラフィック以外の部分についてはほかのメジャーRPGに引けを取らない完成度だったものが、フルリメイクされているのだから間違いないよと言いたい。
ちょっとファンタジー風味なRPGに飽きちゃったなという人、サイバーパンクだけど堅苦しくない世界観で遊びたいなと思ってる人、メタルマックス自体にもともと興味あったけど手を出すのをためらってる人はぜひ手に取ってほしいソフトです。
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